一匹の猫が世界をめぐる旅を続けていた
彼の名前は白猫のシロ
旅を続けるうちに他の猫たちのように
どこか一ヶ所にとどまることを考え始めていた
ある日シロが住宅街を歩いていると
見知らぬ猫が塀の上から話しかけてきた
話を聞くとそいつは今は人の家で
人と一緒に暮らしていると言う
そいつは続けてこう言った
ポイントを押さえれば簡単さ
必要なのは
行儀と愛想と
コミュニケーション力
うまく振る舞って
人に好かれるなら
食べ物には困らないらしい
Wow wow wow
しばらく行くと大豪邸の門に行き当たった
そこには強面の大きな犬が座っていて
話を聞くとそこにはたくさん仲間が暮らしてて
入りたいなら入っていいと言われた
そいつは続けてこう言った
条件を満たせれば簡単さ
必要なのは
努力と我慢と
ポジティブシンキング
人に歯向かわず
ルールを守るなら
住むとこには困らないらしい
Wow wow wow
とりあえずそこでしばらく暮らしてみたものの
やりたいことも楽しみも見つけられず
周りと同じように笑えない自分自身に
劣等感を覚えるようになった
わがままなのか 甘えてるのか
ダメなとこばかりが見えてくる
どうやら僕は
器用に生きるのが
下手くそみたいだ
こんなに広い家にいるのに
どこにも居場所を見つけられない
ある日池の中を
見ていたシロが
突然走り出した
脇目も触れずに
誰もいないステージに
駆け上がると
思いついた言葉を
思うままに歌った
僕は白猫
犬のふりはできても
犬にはなれない
僕は白猫
黒く塗ったところで
黒くは染まれない
誰もが同じ
色や形をしていないから
それぞれらしい
考え方や
生き方があって当たり前だ
Wow wow wow
Yeah yeah yeah
しばらくすると再び旅に出ていた
シロの行方は誰も知らないが
今日もどこかでその白い猫は
歌を歌っている